ASEANへの参入を目指す日本ブランドにとって、マーケットプレイスの選定は単に「ユーザー数が最多のプラットフォームを選ぶ」という話ではありません。チャネルの成熟度、IOR義務、手数料体系、日本ブランドの先行事例はいずれも国・プラットフォームによって大きく異なります。2025〜2026年の変化を整理し、商材と仕向け市場ごとの意思決定パスを提示します。
市場別チャネル成熟度(2026年版)
シンガポールは、日本の消費財にとってASEAN最成熟のeコマース市場です。Shopee SG・Lazada SG・TikTok Shop SG・Shopify SGの主要4チャネルすべてに、日本ブランドの先行実績とIOR経路が整っています。マレーシアはShopee MY・Lazada MY浸透率が高く、第二優先市場です。タイはライフスタイル・美容カテゴリーでTikTok Shop THが台頭し、B2B隣接カテゴリーではLazada THが強みを持ちます。ベトナムはShopee VNとTikTok Shop VNの両方が急成長中ですが、貿易ライセンス取得に45〜50日かかる点がローンチに影響します。
Shopee SG:SIP管理手数料の廃止
Shopeeのセラー・インターフェース・プログラム(SIP)で管理アカウントに課されていた10%の管理手数料は、自社IOR登録でブランドアカウントを運用する事業者を対象に2025年6月に廃止されました。これにより、Shopee SGがLazada SGに対して割高だったコスト格差は事実上解消されました。SKU数500以下でShopee SGの運用経験があるブランドは、SGを最初のチャネルとして選択することが自然な判断です。Shopee MYは同様の構造でSST適用あり。Shopee THとShopee VNは別途IOR登録が必要ですが、TNGAPのプロプランでシンガポール拠点の単一構造に統合できます。
Lazada:LSSプレ資格審査ロードマップ
LazadaのLocal Seller Solutions(LSS)プログラムは、Lazada LogisticsとLazada Fulfillment(LF)ネットワークへのアクセスを提供しますが、ブランドのプレ資格審査が必要です。審査プロセスには通常8〜12週間かかり、ブランド認証・商品カテゴリー承認・初期在庫コミットが含まれます。日本ブランドに最も効果的なアプローチは、まずShopee SGでローンチして販売実績を積み上げ、月次GMVがSGD 15,000を超えた5ヶ月目以降にLSS申請を行う方法です。Lazada MYも同様の審査が必要で、一定規模でのSST登録という追加要件があります。
TikTok Shop SG:パートナープログラムの構造
TikTok Shopシンガポールのパートナープログラムでは、1つの登録法人が単一契約で最大5つのマーチャントアカウントを運用できます。TNGAPをIOR事業者として利用する日本ブランドは、シンガポール法人1社で美容・食品・ホームグッズなど複数カテゴリーのアカウントを同時に持つことができます。TikTok Shop SGは日本のスキンケア・菓子・ライフスタイルブランドで特に実績があり、映像コマース形式と相性の良いコンテンツネイティブなカテゴリーが中心です。手数料体系はカテゴリーによって3〜8%で、プロモーション参加費はアカウント単位で交渉します。
意思決定マトリクス:どこから始めるか
化粧品・スキンケア × シンガポール → Shopee SGからスタートし、3ヶ月目にTikTok Shop SGを追加。食品・スナック × シンガポール・マレーシア → Shopee SGを先行し、5ヶ月目からLSS経由でLazada SGを追加、Shopee MYは並行して展開。工業機器・B2B × タイ → IOR登録代理店とともにLazada TH。汎用商品 × ベトナム → Shopee VNまたはTikTok Shop VN(貿易ライセンスのリードタイムを考慮)。初月からマルチ市場展開 → TNGAPプロプランのIOR統合が前提条件。
本記事は2026年5月現在の規制理解に基づいています。具体的なガイダンスについては弊社チームまでお問い合わせください。
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